椎なんて、他人には見せない柔らかい顔で華鈴ちゃんの頭を撫でている。
華鈴ちゃんは、子供扱いしないで、と唇をすぼませた。
「まぁまぁ、妬くなよ姫」
「やっ、妬いてなんてないわよ!!」
「はいはい~、でもねぇ、あの子に取られちゃうかもね椎。なんたって幼なじみだからね~」
「そ、そうなの…?」
私の肩を抱き寄せる奏夛の仕草より、私は別の事が気になる。
───────待てよ私。
昨日は午後から、学校に行ったでしょ。
今日は制服すら着てないものの、ご飯すら食べてない。
しかも、今ばっちり私服では無いか!!
「あぁ……いつの間にか不良の仲間入りしてるわね…」
「おめでとう夢夏。きっと良い不良になるよ」
「香月、黙りなさい。」
はぁ、と深いため息をついて、私は手で顔を覆った。