「……ちょっと夢ちゃん借りるからみんな。」
「ぅわ、ま、真帆!?」
「いいから。」
いつもとは違う、低くて間延びしない声。
腕を掴む力も強かった。
「ちょっ…と、どこ行くのよ真帆」
「いいから。」
なにを行っても「いいから。」としか言わない真帆は、僚から離れた牧場の小屋の上に登った。
「夢ちゃん、登って」
「は、はい…」
脚立を使って登ると、目の前には花畑が広がった。
綺麗過ぎて、なにも言えなかった。
私はかろうじて平らだった屋根に座った。
私が座ると、隣に真帆も座った。
「ホント酷いよね、朝から怪我はさせるし、さっきだって、反省なんてしてないでしょ」
「そ、それに関しては本当にごめんなさい!」
「まぁ、良いよ。言いたかったのはそれじゃないし。夢ちゃん馬鹿だから鈍いし」
・・・・・・・・どうしちゃったんだろう真帆。
今日は朝から様子が変だ。
もしかして、頭を打ったから(私のせいで)かもしれない!
―――コツン
「熱は無いよね……」
「・・・・・っ、馬鹿!そーゆーところ馬鹿!!悪魔!」