「……ありがとうございました。」
私達は、理事長の部屋を出た。
感想は。 疲れた。
さすがというほどの貫禄もあるし、なにより椎と同じ様な雰囲気がある。
「ここで、みんなにコイツの呼び名を発表しようと思う」
いきなり私の少し前を歩く椎が、振り向いてそう放った。
香月にいきなりなに喋ってんだよコイツ的な瞳で見られてるわよ椎。
しかもこの響く廊下で叫ぶんだからビビってしまったじゃんか。
「ゆめ。夢夏。ゆめちゃん。
姫。姫ちゃん。嬢。ドラ■もん。さ、選べ」
「最初の2つ以外嫌よ?!」
っていうか呼び名のボキャブラリーが多いし。
しかも最後ドラ■もんだし。
しかも無意味に無邪気な笑顔だし…。
「僕はね~、夢ちゃんっ」
「俺は……適当」
「ん~、姫。」
「夢夏で良いよな、?」
「んじゃあ、俺は。ドラ■もん
」
「ドラ■もんは禁止よ!!」
くつくつと喉を鳴らして笑う椎。
不思議と心こ重りもとれてきたような気がする。
まぁ、ドラ■もんは許さないけどね。
「みんな、ありがとう」
楽しそうに笑っていたみんなの笑顔は、一瞬驚きで消えたけど、また優しい笑顔になった。
私も生きていた中で一番笑顔かも知れない。
そのぐらい、光が私の生活に差し込んだんだ。