香月side
俺がそういうと、綾は顔を手で覆った。
いつもは髪を掻き分ける仕草も、今やると手が染まる。
奏夛は少し不自然に口角を上げて目を細めていた。
こいつは今日女を抱く。
表情から察すると、夢夏に何か感情を持って自分に後悔しているのだろう。
女を抱いたって変わらないのにな。
――――♪ ♪
「わり、電話だ。綾、もう終わったからなー、じゃあな~」
「…髪流してくるわ俺」
「奏ちゃっ、綾君っ!」
リビングから奏夛と綾が消える。
魅月の王は、顔を歪ませてただ前を見ていた。
「俺が惚れた女は」
「あぁ」
シンとしたリビングの空気に溶ける椎の声。
心なしか顔つきがきりっとした。
「・・・・・・・俺が惚れた女は」
「・・・・・・」
「夢夏が最初で最後だ。」
正直何を言えばいいのか分からなかった。
でも、本気だという事はわかった。
こいつの本気は、俺らを救っていたから。
だからなにも言えなかったのかも知れない。


