「大好き………」
小さく私から出た本音に、椎の言葉が帰って来なかったから、聞こえてなかったのだろう。
良かった、聞こえて無くて。
私の愛は愛じゃない。
みんな平等な愛なんか持っていないのだから。
「俺らも愛してるよとっくに」
彼の呟きは、私の耳には届かなかった。
「・・・・・・・・・・・・・っん」
目を覚ますと、見慣れない部屋で。
でもたった一度は見たことがあった筈の部屋。
「おはよう、姫」
「・・・・・かな、た?」
「あぁ。大変だったな、色々と。」
いつものように間延びしない声を聞くと、奏夛も心配したのだろう。
「心配かけてごめんなさい。
私、」
「謝るなよ、姫。」
「だって・・・・・・」
何故か奏夛の顔が近付き、鎖骨より下辺りに顔を埋めた。
柔らかく、生暖かいものが肌を這う。
「んゃっ、なにしてるのっ?」