高校へ行く道のりもだいぶ慣れてきた頃だ。





しばらく光希と話していると突然、変なことを聞いてきた。







「まさか…彩希…」










「うん?なに?」






「まだあの思い出、忘れられないじゃないでしょーね??」








「あの、思い出??」







――――そう







あれは10年前。





まだ小学生にもなってなくて、幼かったあたしはお母さんとデパートに電車に乗って行った。








可愛い洋服を買ってもらったこともあり、上機嫌で帰りの電車に乗り込んだ。







そして家から最寄りの駅に着いたとき事件が起こった。





今のように 整備されてなくて ホームと電車の間にはかなりの隙間があった。





その日ばかりは その隙間に気をつけていなかったのだった






「きゃっ…!!」







「彩希っ!? どうしたのっ!?」






「あ、あしが…」







その頃は足もまだ小さかったため 簡単に隙間に挟まってしまった。










お母さんが引っ張ったが 抜けなかった。