少し気分も上がってきて
俯いてた顔もしだいに上がり
軽い足取りで歩いていた。




トントン

ふいに肩を叩かれた。





後ろを振り返ると
片耳のイヤホンを取られ


「よ、りり姉!」


『あー!飛亜(トウア)久しぶり〜!』



飛亜(とうあ)くん。

ゆうりん学園の中学3年。
彼は、私の母校に通っている。
彼はシングルファザーの家庭で
育っていたのだが1年前亡くなって
ゆうりん学園に来た。




「りり姉、昨日来てたって佐々木さんから聞いてさ。でも、俺昨日部活で会えなかったからショックだったんだよね。」



『部活だったのか!今日はないの?』



「うん。ないよ!今日も、りり姉来てくれるんだよね?」



『そー、今向かってたとこ。』


「じゃあ、一緒に帰ろ。」

彼はそう笑顔で言うと
私の手を握り歩き出した。