「たきのりー!!
だーれだ!」

自販機で飲み物を買うと、
後ろから目隠しされた。

だーれだ!って…

私のことをたきのりと呼ぶのは、
合唱部の人しかいない。

そしてこのつくったような
可愛い声は…

「彩音?」

「せーかい!」

「おお、久しぶり。
クラス離れてから中々会わなかったね。」

「"久しぶり"じゃねーよ。
こっちは聞きたいことが山ほどあんの。」

いきなり声のトーンが変わる。
常にさっきみたいな可愛い声で
話してほしいものである。

「うーん。まあ大体想像つくけど。何?」

「何って。
なんで、合唱部に入らないわけ?」

「やっぱり。
えっとねー…ほら、私、音感ないし。」

彼女の名前は、中野彩音。

黒髪ロングに色白な肌という容姿を持ち、

合唱部ではピアノ伴奏を担当するくらい、
ピアノが上手で、

なおかつ、病弱で学校を休みがち。

という、最強の美少女キャラである。



…はずなのに、




「ああ?今、なんつった?」




ものすごく、口が悪い。