「退院て彩音、手術するんじゃないの?」

と疑問を聞いてみる。

「だって、もうすぐ期末試験でしょ?
それとも何?
たきのりは私を留年させたいの?」

「あ…」

どこまでも律儀な奴だよ。

「手術は冬休み。
試験が終わってからにするの!」

「なるほどね。
っていうか私も試験勉強しないと!
剛先生、私はいつ退院できます?」

「えっ?うーん…
凛さんの場合は幸い怪我自体は浅かったので、
やっぱりもう一度精密検査して、
異常がなければ。って感じでしょうか?
まあ、今週中には退院できると思います。」

「…彩音?試験は来週末からでは?」

「そうだよ?」

「私が持ってきてあげたノートのコピー
あるよね?」

「あるけど。」

「今すぐ貸せ。」

「はあ?それじゃ私が勉強できないでしょ?」

「彩音は今から検査行くじゃん!
その間にコピっとくから!」

「しょうがないなあ…
私の病室の棚に置いてあるから。」

「ありがと!」

私のノートのコピーなのに、
なぜ私が感謝せねばならぬのか…

「凛さん、元気になったとはいえ、
まだ患者なんですから、
無理はしないで下さいね。」

剛先生がちょっと呆れ顔でそう言った。