「ありがとうございます。」

「いいえ。」

水が美味しく感じる。

「水道水とは、
これほどまでに美味しいものであったか!
そもそも水というのは奥が深く…」

「普通に喉が乾いてたから、
美味しく感じるんじゃない?」

「人の話を遮らないでください。」

「ごめんなさい。
…っふふ。凛さんは面白い人ですね。
さっき泣いてたかと思えば、
いきなり冗談言うし、
演説始めるし…」

…本当は、泣いてたのが、気まずいから
誤魔化してるだけなんだけど。

「ッ!コホッコホッ…」

恥ずかしくて水を一気に飲んだら、
むせてしまった。

「大丈夫ですか!?
もう!ゆっくり飲んで下さい!
あと、飲み終わったなら寝てて下さい、
また熱が上がりますから。」

また怒られる。
よく怒るなあ…この人。

「いつも彩音に、そんな風に怒るんですか?」

「え?
…………はあ…なんでここで彩音さんが
出てくるんですか…?」

なんか、機嫌悪くなったし。

「もしかして、喧嘩した?」

「喧嘩じゃないです!
主治医として注意しただけで!」

…図星かよ。