「せいぜいデート楽しめよ!
そのあと、仕事もちゃんとしろよ!」

何も知らない勇は別れ際に
お気楽にそんなことを言う。

まさか、生徒を追いかけてるなんて、
いくら信頼してる同期にだって、
言えるわけがなかった。

勇の車を降りてからも、
まだ滝野は見つからない。

ここまでの道に滝野はいなかった。
絶対に見落としてはないはず。

学校側の駅の入り口はここしかないから、
もう電車に乗ってしまったか、
まだ構内にいるはずだ。

俺は探しながら速足で、
改札を通る。

土曜日は午前しか授業がないから、
午後全部が放課後である。

それゆえ、部活をしたり、
自習をしたりと、
いつもの放課後より、
生徒が少しばらける。

とはいえ、
全くいないわけでもなく、
駅構内には
うちの学校の制服を着た生徒が
それなりにいた。