戦況は平行線を辿っている…

膠着状態を極め、
総力戦へ持ち込もうとしているのか?

………!

う、動いたっ!
第一の砦が、突破されたあー!

「って、こっちくんな!」

と叫んだところで、通じる相手ではない。



季節は夏になり、
夏休みがはじまって1週間くらいになる。

夏休みになったと言っても、
特に予定があるわけでもなく、

私は毎日、だらだらと
冷房の中、宿題をしながら、
ゲームをしたり、ゴロゴロしたりしていた。

そんな時に、
部屋に、奴が現れた。

黒く光って、
私よりずっと小さいくせに、
私の数百倍の速度でカサカサと動く奴。

うちには殺虫スプレーなんて、
気の効いたものはないから、
とりあえず、
近くにあった雑誌を投げた。

一度は下敷きになったものの、
数分したら、
すぐにピンピンした姿で出てきた。

じりじりと、追い詰められる私。

ああ…もうダメだ…
奴にやられる…

そう思った瞬間、

ドンドンドン…

「滝野ー?いるかー?」

救世主!メシアが現れた。