そして、時は過ぎ波乱の予感の修学旅行です。

空は雲なんて一つもない快晴。

少しぬるくなった風が、風鈴の綺麗な音色を運んでくる。

まさに、旅行日和の天気。


ーーーーでも、あたしは.....。

楽しみすぎて、昨日はろくに寝れなかった。

9時にはベットに潜り込んだのに、結局寝たのは夜中の2時。


おかげで目覚めは最悪。


ーーーーくま、できてないといいけど。


ーーーーでも、今あたしにはくまよりも気になっていることがある。



それは......。




「......っで、何であんたがここにいんのよ!」



ただいまバスの中。


そして隣にはこの男。


「仕方ねーだろ!悠があいつと座りたいって言ってくんだから」


悠君.....。

菜有花LOVEなのはいいけどこっちの事も考えて下さい.....。



仕方ない。我慢だ我慢。



ていうか眠い......。


本当に眠い。

せっかくの修学旅行なのに、寝不足なんて。それに隣は蓮だし。

厄日なのかも。


ーーーーいや、厄日にしてたまるか!


......そう意気込んでみても眠いものは眠い。



「愛蘭、眠いのか?」


蓮があたしの顔を覗き込んでくる。

ーーーーち、近いんだってば!


「う、うん.....」


蓮との近距離に、戸惑いながら返事をする。

「どうせお前の事だから楽しみすぎて寝れなかったんだろ?」


呆れたように言う蓮。

....な、なんでわかるんだ?!


「やっぱな、そうだと思った」


「しょうがないじゃん!」



楽しみだったんだもん。


「寝ろよ、今寝とかないともたねーぞ」


そうだな.....

ねとこっかな



「うん、じゃあ寝る」




あたしが目を閉じようとしたら
いきなり腕を引っ張られて気付けば頭は蓮の肩に。



「お前倒れてきそうだからこうして寝ろ」



「えっ?!」


恥ずかしいよ.....。

ていうか、近い。


ーーーー慣れない、この距離。


「いいから黙って寝とけ」