「マコト!おはよう!」


教室に入ると、吉田がさっそく、ボクの肩に腕を回してくる。


いつものことなのに、吉田の声が、耳元にかかるだけで、ドキドキする。


「おはよう、吉田。昨日はごめんね。急に帰っちゃって」


「いいけどさ。大丈夫だったか?気分悪くなったんじゃないかって、美知子ちゃんと心配してたんだ」


「ごめんね。なんでもなかったんだけど」


ボクは、ちょっと笑った。


「それより、うまくいってよかったね」


「うまくいってた?俺もう、昨日はドキドキでさぁ。マコトがいなかったら、絶対ヤバかったって」


「ぜんぜん、落ち着いてたよ。それに、やっぱり、お似合いだと思った」



ボクが言うと、吉田が、ボクの顔を覗き込む。


顔が近いよ、吉田(汗)。


「ほんとに、そう思うか?」


ちょっとだけ後ずさりながら、ボクは、こくこくと頷いた。


「ほんとに、思うよ」


あ。


吉田が、嬉しそうに、笑う。


ああ。


ボクにも、この笑顔、向けてくれてたんだ。