堀井が、びっくりしたように、ボクを見ている。



「まこちゃん……」



あれ?



笑ってくれると思ったのに、堀井は、また、泣きそうな顔になる。



泣きそうになりながら、笑って。



「まこちゃん、無理しなくて、いいよ?」



「別に、無理じゃないよ」



「だってまこちゃん、今まで絶対、誰のことも、名前で呼んだりしなかった。絶対、自分の中に、他人を入れようとしなかった。でも、まこちゃんは優しいから。……だから、呼んでくれるんでしょう?」



「……ごめんね。やっぱり、不自然かな」



でも。



「でもね。美知子ちゃん。ボク、美知子ちゃんは、本当に、大切な友達だって思ってる。ずっと、一緒にいてほしいって、思ってる。だから……嫌じゃなかったら、ボクも、名前で呼びたいんだ」