「まこちゃんは、ゆきこのほかに、およめさんにするひと、いるの?」


有希ちゃんの、まっすぐな瞳に見つめられて、ボクは戸惑った。

お嫁さんにする人なんか、いない。
多分、これからも、ずっと。

だってボクは、女の子に恋をしたり、たぶんできないから。

それ以上に、陸さん以上に誰かのことを、ボクが好きになるなんて、考えられない。


でも。


陸さんは、お兄さんだから。
陸さんも、ボクのことを弟として見てくれているから。

きっとだから、陸さんはボクに、キスしてくれなくなったんだ。


有希ちゃんは、本当に、真剣で。
こんなにまっすぐな思いを、断るなんて、できないよね。

ただでさえ、有希ちゃんはあの事故で、とても傷ついたんだから。


「……いないよ?」


嘘じゃない。


「お嫁さんにする人なんて、好きな人なんて、いない」

「おい、マコト?」


吉田が、びっくりしたように声をかけてくる。

みっちゃんも、ボクを見ている。