「……いいかげんにしろよ」

「陸さん、いいから。お願いだから。ボクもう、ここにいたくない」


また、離れようとした陸さんの服を、ボクは必死につかんだ。

いやな夢を見ているみたいだ。

早く、現実に戻りたい。

みんな、忘れちゃいたい。

頭の中がいっぱいで、ズキズキ痛むんだ。

息が苦しくて、身体が震えて。

陸さん。


「苦しいよ……陸さん」

「マコトっ!」


目の前が暗くなって、ボクは陸さんに寄りかかった。

どうしよう。

なんだか、もう、動けない。


「マコト……ごめん」


陸さんが、強く、ボクを抱きしめる。


「ごめん。ほんとうに、ごめんな」