「俺は、けっこう量より質派なんだけど」
「雑誌とかで、デートスポットとか調べてたりしてー」
「なんだよ、違うって。少なくともここは、女の子連れてきたのは美知子、ちゃんが初めてなんだからな」


言って、吉田が、アイスティーをごくごくと飲む。




特別、なんだ。



吉田にとって、堀井のこと、特別、なんだ。



名前を呼ぶだけのことに、こんなに、どきどきして、勇気を振り絞るくらいに。



そう思って、気付く。



ボク、吉田のこと、名前で呼んだこと、ない。