私が笑っている間に、源喜さんはそう一言言って消えた。

団地の前に1人残された私は、なんだかすごく寂しくなった。


今まで源喜さんと一緒だったのに…

まるで、ずっと1人でいたかのように感じた。


私は寂しさを押し込むように、すぐに家の中に入った。





「…ただいま」

「おかえりなさい…」


家に帰ると、お母さんがリビングのソファーで寝ていた。




「どうしたの?」

「ちょっと夏バテみたい…(汗)調子悪いから、ずっと横になってたのよ」

「そう…大丈夫?」

「平気平気!食欲はあるから!お風呂入っちゃったら?」

「………うん」


お母さんを心配しつつも、私は自分の部屋に着替えを取りに入る。






すると、机の上の花瓶に入れているひまわりが、一本増えていることに気がついた。



これ…

源喜さんだよね?



私はひまわりに近づいて、花びらを指で触る。


部屋中は、花のいい匂いがした。



源喜さんを思い出した。