龍之介さんは、そう言ってお父さんに頭を下げた。

お父さんは、何も言わない。



どういうこと?

飛龍さんのお父さんと、辰彦が一体どんな関係だっていうの…?


隣にいる源喜さんを見ると、源喜さんも私同様かなり驚いている様子。

飛龍さんは、気まずそうに源喜さんから目をそらしていた。


龍之介さんはその空気を押し切って、ゆっくりと話し始めた…




「百合さんが亡くなってから、しばらくしたあと…俺のところにひとりの男が訪ねて来た……名はタツヤ…………俺の娘を連れて『結婚したい』と言ってきた…」



まさか…

その男って…




「その男こそ…この辰彦だ。俺はすぐ了承し、妖怪の掟やルールをタツヤに教えた上で、奴を娘と結婚させた。半妖になった奴に、俺は『辰彦』と名を変えた…」



辰彦って本名じゃなくて、妖怪としての名前だったんだ。





「半妖になってから、辰彦は影で色々やるようなった。何を考えてるのかわからなかったし、俺達に背を向けていた。俺は辰彦を徹底的に調べた…そしたら・・」