あんな優しい人に…私は背を向けてる。


紅子さんは、みんなに優しくて、綺麗で…素直で…素敵……

でも私は…


全然ダメな女。



好きな人の前で、可愛くなれない……








………………




「ハ………ハァ………」



夜11時


紅子さんはさっき帰宅し、淡牙さんはお父さんと、まだ麻雀中。



私は源喜さんに誘われて、縁側にいた。


源喜さんは、庭で筋トレをやっている。

私はその姿を、膝を抱えて、少しむくれながら源喜さんを見ていた。



考えることは、紅子さんのこと。

それから、源喜さんのことだ。



よくよく考えてみたら…

源喜さんは、私のことなんか…きっとこれっぽっちも好きじゃないのかもしれない。


だって…

淡牙さんの能力で、私を源喜さんは見つけたんだよね。



理由は、

私を嫁に迎えれば、鬼一族に幸せが訪れる…


だから、源喜さんは私に良くしてくれてるんだよ。


本命は別にいるんだよね…