“お袋を殺したのは、人間だ"



源喜さんから出た言葉に、私はただ驚くしかない。


妖怪が人間を殺すのはわかるけど…

人間が、妖怪を殺すなんて……


あ、でも…

源喜さんのお母さんは、人間だったっけ……

でも!

妖怪と結婚した人間は、半分は妖怪になるから………

やっぱり源喜さんのお母さんは、妖怪だよね。




「親父が鬼一族の頭領になったのは、今の俺くらいの歳だった。当時親父は、人間界でバリバリ仕事をしていて、いくつもの事業をする実業家だった。そんな時…ある人間の女と出会った…」


人間の…女性……



「親父は以前から、鬼一族の占いが得意な友人から、『お前と結婚する人は、この人だ』と言われている人間がいた」

「……!それって、もしかして……」

「そう。俺の結婚相手を占った人と同じ。親父もその人の占いで、結婚相手と出会ったんだ」

「じゃ、じゃあ…その結婚相手が」

「お袋ってこと」


やっぱり!



「親父は占いなんて信じてなかったし、結婚なんてする気もなかったから、結婚相手に自ら会いに行ったりなんてしなかった。でも…2人は偶然出会ったんだ」

「へえ…」

「その時初めて、親父は友人の占いを信じたらしい。親父はお袋を一目見て好きになり、お袋も親父を気に入ったそうだ」