珠紀が何か言おうとした時、源喜さんが珠紀を呼んで止めた。

すると珠紀は、険しかった表情を一瞬で、笑顔に変えた。



何…今の……

よくわからないけど…

すごく不自然なのは、わかった…



「ううん、なんでもないっ!気をつけて帰ってね」

「………うん」


私は何だか腑に落ちないまま、珠紀と別れた。

ふと源喜さんを見ると、また珠紀の家の猫たちに威嚇されていた(汗)


それを見てフフと笑うと、腑に落ちなかった気持ちが、ちょっとだけなくなった。






もうすぐ夕飯時なのに…辺りはまだ明るい。

私は家までの帰り道を、源喜さんと並んで歩いていた。




「…珠紀が妖怪だって……知ってたんですよね」


ダラダラと歩きながら、源喜さんに話しかける。




「ああ。会った瞬間、あいつの妖力を感じ取った。あいつは必死で妖力を押し殺して、人間のフリをしてたけど…俺には通じねえよ」


それであの時、珠紀は体調が悪そうだったのか…

さっきの家政婦さんも、源喜さんを見た瞬間、表情が変わってたもんな。

きっと珠紀と一緒で、妖力を押さえ込んだんだね…




「ま、良かったな。これで、お前の心配もなくなっただろ」