マリー

 知美は食器を流し台に持っていくと、ソファの傍に置いていた鞄を手にした。
 もう既に優子は家を出た後だ。

 伊代に学校に行ってくると告げ、玄関に歩きかけた知美の足が止まる。振り返ると伊代を見た。

「郵便局って近くにありますか?」

「手紙、書き終わった?」

 伊代の言葉に知美はうなずく。

 知美は昨夜のうちに手紙を書き終えたのだ。

 親しい友人だったため、書きたい事はたくさんあった。だが、この学校については触れる気にはならず、差し障りのないことを綴ったのだ。

「今週中で良かったら、出しておくわよ」

「ありがとう」

 知美は伊代の言葉に甘え、鞄から封筒を取り出すと伊代に渡す。

 そして、家を出た。

 眩い太陽の光に目を細め、天を仰ぐ。

 友達からの手紙に心は癒されたが、学校に行かないといけないと思うと、心が重くなる。

 悪い子ばかりではない。だが、何人かに悪意をあからさまにされると、さすがにきついと感じたのだ。