マリー

 彼を見送ると、岡崎は知美を先ほど眠っていた布団の場所まで案内してくれた。心臓の動きも正常時に近づいてきていた。

 岡崎は知美に少し待つように言い残すと、部屋を出て行った。

 少しして、麦茶を入れたコップを持ってくる。

 静かな家の中に電話の音が鳴り響く。岡崎は知美に断ると、再び部屋を出て行く。五分ほどで、彼は戻ってくる。

「白井さんは大丈夫だそうだ」

「本当に?」

 知美の言葉に、岡崎は力強く頷いた。

「良かった」

 知美の目から大粒の涙があふれ出す。岡崎は知美の肩を叩くと、何も言わずに泣き止むまで傍にいてくれた。


「君は家に帰りなさい」

 岡崎は知美が泣き止んだ頃、彼女の肩を叩き、そう告げた。

「でも、わたしは」

 もうマリーの事は大丈夫なのだろう。だが、将を傷つけ、周りから忌み嫌われている自分がここに残ってはいけないと思ったのだ。

「きっと君の伯父さんも伯母さんも悲しむよ」

「伯母さんは、伯父さんが引き取りたいというから面倒を見ただけだと思います。だから、どこか別の場所に行きたい」