マリー

 きつい目をした少女の言葉に、ふっくらとした少女が笑う。

「そんなことないよ」

 弱々しい声が背後から聞こえる。そこに立っていたのはピンクのワンピースを着た麻里だ。彼女の目には涙が浮かんでいた。

「だって来ないじゃない。美佐だって、暇なお嬢様には付き合ってられないのよ。まあ、そのうち来ると思うけど」

 ふっくらとした少女はふふっと笑う。

「何でいつもそういう事ばかり言うの?」

「じゃ、本人に聞いてみたら? いつもみたいに怖くて聞けないんだよね」

「雨、ひどくなるんだって。体弱いんだから、家に帰ったら?」

 切れ長の目をした少女は話をやめ、鞄から折り畳み傘を取り出した。

「そういえばこんなの入ってたな。まあ、あんたなんかに貸してあげないけど。じゃあ、お元気で」

 切れ長の目をした少女がそう告げると、二人は目を合わせて愉快そうに笑い、その場を去っていく。

 麻里は二人の後姿を見ながら、涙を浮かべていた。

 雨脚が強まり、視界が霞んでも、彼女は泣き止まない。

「言えないけど、きっと来てくれるよ。約束したんだよ」

 何度も繰り返し、そう告げる。

「友達だもん」

「麻里ちゃん? どうしたの?」

 叫び声が届き、ロングヘアの少女が麻里の肩をつかんだ。優しい目を見て、伊代だとすぐに分かった。