マリー

 彼は知美と目が合うと、笑みを浮かべていた。

「急に悪いね。おじさんのことは分かる?」

 知美は頷いた。

 彼はほっとしたような笑みを浮かべると、知美の頭を撫でた。

「お母さんは?」

「分からないけど、警察の人から電話がかかってきたの」

 その言葉に白井将の顔が強張る。彼は知美に自分の部屋に戻っておくように告げた。

 笑みを失った将の表情を伺い見ながら、自分の部屋に戻ることにした。

 将は顔を合わせることは少なかったが、お菓子やおもちゃなどを知美に送ってくれていた。

そのたびに母親が文句を言っていたのも知っている。そんな彼を困らせたくなかったのだ。

 ベッドに座り、息をひそめていると、将の声が聞こえた。

「分かりました。伺います」

 受話器を置く音が聞こえ、すぐに部屋の扉が開いた。そこには将が暗い顔をして立っていた。

「お母さんが亡くなったそうだ。身元の確認をしてほしいと言われた」


「わたしも行く」

「知美ちゃんは家で留守番をしていてくれ」

 彼は知美をそっと抱き寄せる。その温かさを感じ、知美は小さく頷いた。