「まず、問題のきのこですが‥‥。」
オーランドからきのこのパックをもらい、蓋を開ける。
色も地味だし、目立つ特徴の無いきのこだ。
「これは確かに、毒きのこです。」
きっぱりと言い切る万里に、周囲はざわつき、教師はそれみたことかと、きのこ部の部長を睨む。
「あ!ほていさんです!」
まりあの手を握っていたはずの瑞希が、万里の手のパックを覗き込んで、一人だけ、この場にそぐわない明るい笑顔を振りまいた。
「はい、瑞希さん。よく覚えていましたね。」
「おとうさんのおんしつに、あります!」
毒きのこが個人の温室にあるとは、どういうことか。
ここで突っ込んではいけないとわかっていても、心の中ではツッコミの嵐だ。