きのこ部のきのこ鍋は、順調に売れていた。

マニアックな部活のため、予算も少ない。
この売り上げは大切だ。
学園祭で売り上げが良ければ、周りに認めてもらえるかもしれない。
そうすれば、予算ももう少し上げてもらえるかも…。


「きのこ部のきのこ鍋!」

「僕たちが育てたきのこも入ってます!」

「育てたきのこも売ってます!」


張り上げた声が、子連れの親を引き寄せる。
食の安全が求められる今、例え学生であろうと、生産者が見えるのは大切なのかもしれない。

もちろん、品質にも自信がある。

きのこ博士である大塚万里にも、手紙で協力を仰ぎ、近くの農業高校へ勉強にも行った。

きのこ部部長は、親の希望で進学校であるこの高校へ入ったが、本当は農業高校へ行きたかったのだ。