「奈々さ、嘘ついてんだろ」
「・・・は?」
「由美の話。何か隠してんだろ?」
「信じてくんないの?」
「・・・」
「あのさ、奈々達は友達じゃないじゃん?だから・・・互いの事はどーでも良い。そう思って忘れなよ、由美の事は」
「中学の時は?」


沙織が真剣な顔で、
奈々に問いかけた。


「中学の時も、友達じゃなかったの?」
「・・・」


沈黙が続いて、奈々と沙織は
別々に家を出ていった。


次の日。
家を出ると、門の所に永原と妹が居た。
今日は土曜日だ。


「亜紀ねーちゃん!!」
「・・・久しぶり」
「真里が会いたいって言うから。住所は先生に聞いちゃった」
「何も無いけど・・・アタシの家」


立ち話もなんだから、
家のリビングに入れた。


「こんなおーきい家に、ひとりで住んでるの?亜紀ねーちゃん良いなー」
「ごめんね、亜紀ちゃん。真里は何も知らないし・・・嫌味じゃないから」
「別に良いよ。気にしない」
「お願いがあって来たんだ。真里を1日預かって欲しいんだ」


バイトが夜遅くまでだから、
明日の朝に来ると言って出ていった。


「・・・妹」
「真里だよ」
「だよな。真里、昼は何食いたい?」
「食いたい?」


普通の言葉と少し違うから、
意味を理解できないのかもしれない。


「・・・何食べたい?」
「んーとね、コロッケ!」
「よし、スーパーに行くか」


近くのスーパーに向かった。


「真里は、ねーちゃんの病気知ってる?」
「びょーき?」
「いや・・・何でもない」


スーパーに着いて、コロッケを
カゴに入れる。


「お菓子買うか?」
「・・・要らないよ?」
「姉妹揃って、しっかり者だな。アタシが買ってやるから、選んできな?」


真里の後ろ姿を見つめた。
アタシの小さい頃もあんな感じだった。
叔母さんに遠慮して、我慢してた。


「亜紀」


振り返ると沙織が居た。


「今、家に奈々が来ててさ。・・・スーパーなんて珍しいね?いつもコンビニなのに」
「スーパーの気分だったから。2人は仲直りしたの?」
「喧嘩っていうか、気まずくなっただけだよ。それより、奈々と亜紀が心配だよ」
「・・・そう?」
「昔の仲良かった頃に戻れたら良いのに」
「アタシは無理」


沙織の返事を聞く前に、
真里が行ったお菓子コーナーに行った。


「亜紀ねーちゃん、これ」


お菓子を2つ、カゴに入れた。
会計を済ませて家に帰った。


永原の病気はすぐ治るだろう。
そう簡単に考えていた。

でも、違った。