ここんとこ、隣りがやけにうるさい。
最悪な事に祭日が多くて、日中も家に居るもんだから、私はもう耐えらんない。
子どもの泣きわめく声と、床や壁を叩く音。
叱りもしない二人の親の笑う声。
放っておくなら、疳の虫の薬でも飲ませたらどうなんだ。
子どもの嫌いな私でも思う。
抱っこして、背中さすってあげたら絶対に泣き止むのに。
一度、神経研ぎ澄ますくらい嫌な思いをすると、そればっか気になっちゃって。
結果耐えられなくて、喫茶店へ行ったり本屋へ行ったり、夜は銭湯へと逃げるように避けるように行くのだ。
赤ん坊は泣くのが当たり前。
だなんて、思ってもらったら困る。
うるさくて、他人に迷惑を掛けているのは事実なんだから。
永田さんみたいに、強く言えたらいいのに。
あの性格、うらやましい。
うらやましいだなんて、他人に思わない私なのに。
今の私には、永田さんの強い性格がうらやましくて仕方がない。
今夜も銭湯。
そろそろ仕事でも始めようかな…。
何もしてない無職の状態も潮時かも。
何か始めたら、嫌な事も忘れられるかも。
疲れるならば、仕事で疲れる方のがよっぽどいい。
何もしてない私なのに。
こんな事で悩んでる…私…。
バカみたい…私…。
女湯の扉を開けて外へと出る。
帰ろうとした時だった。
駐車場で見覚えのある後ろ姿。
永田さんの後ろ姿だった。
暗くてもすぐに分かる。
…………。
やだな…また子ども…抱っこしてる。
変に複雑なキモチ。
ショックってキモチ…。
黒塗りの軽自動車が、永田さんの前で止まって声がした。
「ほらママ来たぞ~」
後部座席のチャイルドシートに、大切そうに乗せていた。
更に複雑な心境になって…。
もう見たくない!
視線をすぐに、そらした。
私にはあんな愛想悪い態度して、あんな低い声で毒舌かますくせに、全然違うんだから!
どうでもいい人間と、大切な人への接し方、あまりにも違い過ぎてて…。
悲しくなる。
うらやましいくらい、強い心の持ち主なんだって思ったのに…。
あんな高くて優しい声…。
聞きたくない!
私は自転車に股がり、凄い早さで帰って行った。
他人なのに。
同じアパートに住んでるだけの他人。
いつの間にか自分のモノみたいな、そんなキモチで永田さんを見てたりして。
最悪な事に祭日が多くて、日中も家に居るもんだから、私はもう耐えらんない。
子どもの泣きわめく声と、床や壁を叩く音。
叱りもしない二人の親の笑う声。
放っておくなら、疳の虫の薬でも飲ませたらどうなんだ。
子どもの嫌いな私でも思う。
抱っこして、背中さすってあげたら絶対に泣き止むのに。
一度、神経研ぎ澄ますくらい嫌な思いをすると、そればっか気になっちゃって。
結果耐えられなくて、喫茶店へ行ったり本屋へ行ったり、夜は銭湯へと逃げるように避けるように行くのだ。
赤ん坊は泣くのが当たり前。
だなんて、思ってもらったら困る。
うるさくて、他人に迷惑を掛けているのは事実なんだから。
永田さんみたいに、強く言えたらいいのに。
あの性格、うらやましい。
うらやましいだなんて、他人に思わない私なのに。
今の私には、永田さんの強い性格がうらやましくて仕方がない。
今夜も銭湯。
そろそろ仕事でも始めようかな…。
何もしてない無職の状態も潮時かも。
何か始めたら、嫌な事も忘れられるかも。
疲れるならば、仕事で疲れる方のがよっぽどいい。
何もしてない私なのに。
こんな事で悩んでる…私…。
バカみたい…私…。
女湯の扉を開けて外へと出る。
帰ろうとした時だった。
駐車場で見覚えのある後ろ姿。
永田さんの後ろ姿だった。
暗くてもすぐに分かる。
…………。
やだな…また子ども…抱っこしてる。
変に複雑なキモチ。
ショックってキモチ…。
黒塗りの軽自動車が、永田さんの前で止まって声がした。
「ほらママ来たぞ~」
後部座席のチャイルドシートに、大切そうに乗せていた。
更に複雑な心境になって…。
もう見たくない!
視線をすぐに、そらした。
私にはあんな愛想悪い態度して、あんな低い声で毒舌かますくせに、全然違うんだから!
どうでもいい人間と、大切な人への接し方、あまりにも違い過ぎてて…。
悲しくなる。
うらやましいくらい、強い心の持ち主なんだって思ったのに…。
あんな高くて優しい声…。
聞きたくない!
私は自転車に股がり、凄い早さで帰って行った。
他人なのに。
同じアパートに住んでるだけの他人。
いつの間にか自分のモノみたいな、そんなキモチで永田さんを見てたりして。

