「いいの、いいの。俺、選手だし」
選手…
「あっ!」
私が大きな声を出すと、勇志くんは驚いた
「勇志くん、試合に出たね!すごかったよ!」
勇志くんの方を向いて言った
今も私の脳裏にはさっきの試合が焼き付いている
本当にすごい試合だった…
「ちょっとしか出てなかったけどな」
少しだけ悔しそうに笑った
「でも、あの数分であんなに得点が取れるなんてすごいと思ったよ」
「ん…ありがと」
うつ向きながら勇志くんは壁に寄りかかって
座った
「俺さ…交代を言われた時、こんな大事な場面で俺が出ていいのかって思ったんだよ。けど、コートに入って観客の方を見たとき…茜が見えたんだ」

