俺は全然泣かない子だったらしい 比べてアイツはすぐ泣くヤツだった よくアイツとはどちらかの家で同じ時間を過ごしていた 相変わらず俺には怯えていたが もちろん赤ん坊なのだから泣くのが仕事 しかしまだ3歳の俺にはそんなことは知ったこっちゃない 『うるさい』 『ごめんね、ろく君』 『ろく、乃依ちゃんはね』 『分かってる』 母親までもがアイツの味方をする 母親をアイツにとられた そんなはずないのだが、そう考えていた