今昔狐物語



 事に気づいたのは、それから数週間程過ぎた頃だった。

朝食の席でゆきが零した言葉に、それぞれが異なった反応をした。


「は、吐き気がする…。気持ち悪い」

「気持ち悪い?なんか変なもんでも拾い食いしたか?」

これは父親の反応だ。

「病気か?熱でもあるんじゃ…」

これが遊真。

最後に母親がこう言った。

「もしかして…!ゆきちゃん、心当たりない?」

「ふえ?何の?」

「月のもの、ちゃんと来てる?」

言われてしばし考える。

「え…と、そういえば…最近、ない…」


ここでようやくハッとしたゆき。


(ま、まさかそれって!!)


「あらやだ!ゆきちゃん、おめでたかもねぇ」