今昔狐物語


「問題ない。ゆきは消極的過ぎる。夜くらい、もっとはしたなくなって欲しい」

思考が蕩けるような声音で卑猥になれとねだる彼。

「あっ、あす…ま!」

今宵も全てを求められる。


(ああ…もう、どうでもいい)


甘くて甘くて、ほんの少々意地悪な愛撫に声を押し殺しながら。


「愛してる、ゆき。もっと乱れて…愛させて」

敏感な蕾に落とされた口づけは、支配者というよりも捕食者の戯れ。


(貴方がお狐様であろうと、なかろうと、私は「遊真」が好き。好きなのよ…)


化かされていても、騙されていても構わない。

彼がそれを望むなら、上手に化かされてあげよう。

騙されてあげよう。


身体を重ねるこのひと時。

今が幸せならば、それでいい。