今昔狐物語



 その晩、ゆきは遊真のはだけた着物の下に覗く美しい肉体を凝視していた。

「ゆき…?」

頬や目尻に口づけを送っても無反応な妻に訝しむ夫。

これから夫婦の営みを行うというのに、なぜだかゆきが心ここにあらずといった雰囲気だ。


さて、一体ゆきが何を考えていたのかというと…。

(遊真、やっぱり人間よね。こんなに素敵な肌や筋肉…もしこれが狐なら、相当化けるのが上手いとか?)

躊躇いがちにそっと遊真の白い胸元を撫でてみる。


「っ!?ゆき?」

突然のことにビクリと反応してしまった遊真。

彼は自分の肌に触れたゆきの手をやんわりと捕まえた。

「積極的だな。嬉しい」

「あ!ごめんなさい。はしたなかったわね」