今昔狐物語


消えるお供え。

食べたのは神様。

おじいちゃん曰く、神様は白狐。

白狐がいなくなってから現れた遊真。


(この前の雨の日、お供え物は無くなってた。お狐様が食べたの?でも姿を見掛けないし…)


その時、不意に思い出された先程の遊真の言葉。


――必ず、また会える


「!?」

確信的な、彼の台詞に身体が震えた。


(まさか…まさか、冗談ではなく…本当に遊真が、お狐様!?)


彼女は自分の思考に驚きつつも、前を行く遊真の背中を無言で見つめたのだった。