楽しそうに話すゆきをじっと見つめる遊真。
彼女は続けた。
「でも、なぜか数年前から姿を見なくなって…。死んでしまったのか、どこかに行ったのかわからないけど、こうして社を綺麗にしていれば、また会えるような気がして…」
いつの日か、また以前のように社の裏辺りからひょっこりと姿を現してくれることを期待しながら、掃除の手を動かす。
すると、突然遊真に後ろから抱き寄せられた。
「きゃ!遊真?」
ゆきの髪に顔を埋めながら、遊真は囁いた。
「また、会える」
囁き声なのに、その口調はとても確信的で。
「必ず、また会える」
言い聞かせるように彼は繰り返した。
「そ、そうかな?そうだと嬉しいな」
「その狐はいなくなったわけじゃない。いつも、ゆきを見守っているから…安心して」



