ゆきがこの祠にこだわる意味がわからず、遊真は彼女の答えを待った。
「そうね…。強いて言うなら…また会いたいから、かな?」
「会う?誰にだ?男か?」
少しムッとなった遊真を見て、ふふふと笑うゆき。
「残念、違います」
彼女は静かに正解を告げた。
「お狐様よ」
「お狐、様?」
面食らったような顔をした遊真に信じてもらいたくて、ゆきは詳しく説明を始めた。
「そう。この社にいたの。普通の狐より大きくて、真っ白で、とても綺麗なお狐様」
ゆきは掃除の手を止めて社を見上げた。
「小さい頃から度々見掛けてたの。もう死んじゃったおじいちゃんに、そのお狐様について聞いたことがあってね。そしたら、おじいちゃん曰くそのお狐様はこの土地の神様だって」



