朝日が昇る前の静かな早朝。
まだ薄暗い中で遊真は着替え、褥にゆきを残し外へ出た。
(ん…あす、ま?)
隣で眠っていた夫が起きたことに気づき、ゆきも頭を覚醒させる。
(遊真、こんな早くにどこへ?)
いつも早起きな夫だが、たいていはゆきに抱き着いていたり朝食の手伝いをしてくれたりと、彼女の傍を離れない。
気になったゆきは手早く着替えを済ませ、遊真の後を追った。
(遊真…どこに行ったのかしら?)
外に出て辺りを見回すと、村の外れに向かう遊真の後ろ姿を見つけた。
「あ、遊真…!」
駆け足で追いかけるが彼の足も速い。
追いついたのは遊真が目的地へ辿り着いた時だった。
「ここ…祠?」
どうやら夫は村の祠に用があるらしい。
スタスタと祠に歩み寄る遊真にゆきは声をかけた。



