今昔狐物語




 数十分後、焼いた魚を木の枝に刺して戻ってきた飛牙が、やや驚いた表情でちよを見つめた。


「ほう、ここで待っていたのか」

意外そうに呟く。

「てっきり、村へ逃げ帰ったかと思ったが…」

「戻ろうと、思ったけど…なんでかな…?足が、動かなかった」


この発言に何を勘違いしたのか、飛牙が慌てだした。

「何、もしや足にも傷が!?どこが痛む?」

屈み込んでちよの着物の裾(スソ)をめくり、足をさらけ出させる。


「え?きゃあ!?違っ…そういう意味じゃないの」

「では、どうしたというのだ?」

本気でわかっていない上、本気で心配されていることに面食らいながら、ちよはどう説明したものか、と悩んだ。