泣きそうな笑顔であかりは火叉七を見上げた。
火叉七はといえば、更に頬を真っ赤に染めてしまっている。
「そ、それはつまり…その……えっ、嘘だろ?風真から俺に乗り換えるのか!?あっ、言い方悪かった。いやいや俺は大歓迎なんだけどさ、風真がそれを許すかどうか…あいつねちっこいし、しつこいからな」
まだ好きとも言っていないのに、何やら先走っている火叉七。
けれど敢えてあかりは訂正しなかった。
自分が火叉七に惹かれているのは事実だし、こんな彼も好きだから。
「風真くんとはまた改めて、ちゃんと話し合います」
「俺も一緒にな?絶対だぞ?」
「はい…!いてくれると、嬉しいです」
この会話を、獣耳をピーンと立てて少し離れた建物の陰から聞いていた風真は、軽い溜息をついた。
今は出ていく気になれず、焼肉屋へ戻ろうと静かに歩き出す。
「…諦める気はないよ」
負け惜しみのように小声で火叉七に宣戦布告。
飛牙に「俺以上に腹黒い」と言わせた風真は、これから火叉七という好敵手をどう排除しようかと考えながら口角を上げる。
果たして、花嫁を得るのはどちらか。
それはまだ綴られぬ未来の物語。



