あかりが出て行った後の座敷で真っ先に口を開いたのは嵐華だった。
「ほれ、何をしておる火叉七」
「へ?母上?」
「あの女子を追いかけんかい」
「はあ!?お、俺が!?」
「そうよ!今の子、風真と比較して火叉七を褒めてたじゃない!行きなさいよ。脈ありかもしれないわよっ」
姉にまで行け行けと言われ困り顔になる。
果たして自分なんかが追いかけていいものか。
火叉七は悩みつつチラリと風真を見た。
(あいつは動かないつもりか?)
あんなハッキリ「ごめんなさい」と言われたら追うに追えないだろう。
火叉七はあかりのことを考えた。
(……泣いて…ないかな…?)
色々嫌な方向に想像してしまい、心配になってくる。
「だあああっ!!もう!行ってきます!!」
勢い良く焼肉屋から飛び出していく火叉七を見て嵐華がクスリと笑んだ。
「ふふ、流石。我の子じゃ」
「ふむ。さて、俺の孫はどう動くんだ?」
飛牙の視線が風真に突き刺さる。
「………」
風真は無言で立ち上がると火叉七同様、焼肉屋を後にした。



