あかりは浮気現場を見てしまった日のことをポツリポツリと語り始めた。
すると…。
「ああ、それは恐らく俺だなぁ」
なんと飛牙がクククと笑いながら手を挙げた。
「一度、女に化けて風真に会いに行ったからな」
「あの時は驚いたよ。おじい様、いきなり来るんだから」
「なかなかに楽しめたぞ」
上機嫌の飛牙。
まさかの誤解にあかりは開いた口が塞がらない。
そもそもだ。
「あの…皆さんもしかして、火叉七さんと同じ……お狐様、ですか?」
「ほう、察しのいい女子(オナゴ)じゃな」
嵐華が肯定した瞬間、それぞれがぴょこりと狐の耳を出し、ふさりと尻尾を揺らす。
しばらくの間、あまりに非現実的な光景のためぼんやりしていたあかりだったが、ハッと我に返った。
「風真くん…」
「ん?何?」
隣にいる彼の頭にもひょっこり狐耳が覗いている。
それを悲しげに見上げ、あかりは震える声で言った。
「どうして…もっと早く教えてくれなかったの?お狐様だなんて……こんな大事なこと」



