優しかった風真が怖くなった。
変わっていないようで、何かが変わり始めている。
(どうしよう…)
家族に会わせてくれるなんて、他人からしたら上手くいってるように見えるのだろうか。
今の状況が不安で、あかりは翌日また一人でハンバーガーショップに向かった。
(火叉七さん…)
あそこに行けば会えるような気がして。
(会いたい…)
彼の裏表ない笑顔は貴重だ。
あかりに安心や元気をくれる。
――あの笑顔が、好き
思った瞬間、ハッとした。
(私っ…)
揺れている。
彼――火叉七に惹かれ、揺れている。
店内の席に座ってあかりはバッグから壊れてしまった髪飾りを取り出した。
あの後、彼が帰ってから欠けてしまった桜をできる限り元通りになるよう接着剤でくっつけた。
そっと触れる。
(大切にするって言ったのに……ゴメンね)
優しく撫でながら窓を見る。
外は曇天。
なんだか雨が降りそうだ。
しばらく店から通りを眺めていたあかりだったが、いくら経っても待ち人は来なかった。



