数日後、あかりは一人でまたあのハンバーガーショップに来ていた。
火叉七と一緒に食事した店内で溜息を漏らしながらコーラを啜る。
「ハァ…」
あれから、何も変わっていない。
彼氏とは相変わらずで。
(まだ二度目は見てない。もう少しだけ、このままで…)
次に浮気現場を見てしまったら別れよう。
自分の心を守るためにそう決める。
ズズとコーラを吸い、ふと窓の外を見た。
「えっ」
あかりの目が見開かれる。
窓の外には最近知り合った仮面などかぶらない自称お狐様の姿があった。
「火叉七さん!?」
明るい笑顔でぶんぶんと手を振りこちらに突進してくる彼。
呆気に取られて見ていると、火叉七は店内に入って来た。
「良かった!ここにいた!また会いたくて探してたんだぜ」
真っ直ぐ自分のもとに駆け寄ってきた火叉七に、なぜかあかりの胸がドキンと高鳴る。
彼女は熱くなる頬を気にしながら恥ずかしげに髪を耳にかけた。
「ここ、よく来るんです。大学から近いし…」
「そっか。あ、俺の用事はこれな。はい、あげる」



