それから火叉七と別れたあかりは彼氏との待ち合わせ場所に急いだ。
今日は大学の授業がお互い早く終わるから会おうと約束しているのだ。
(もう待ってるかな?)
早足で駅前に向かえば、彼はすでに到着していた。
「風真(カザマ)くん…」
小声の呼び掛けに反応し、サラリと彼の茶髪が揺れる。
モデルかと勘違いされるスタイルの良さと整った顔立ちはいつも周りの目を引き付けるから、正直あかりは隣に立つのが恥ずかしくて仕方ない。
「あかり、良かった。来てくれたね」
微笑む彼はいじっていたスマホをしまった。
「遅いから今連絡しようと思ってたんだよ」
「ご、ごめんなさい!心配かけてっ」
「君に何もなかったならいいよ」
優しげにふわりと微笑む風真は浮気なんてするように見えない。
だからこそ余計にあかりの胸は痛んだ。



