「火叉七さんは素直でいい人だと思います。けど、ごめんなさい。私…彼氏がいるんです」
理由を話してお断りすれば火叉七は落胆して肩をガックリ落とした。
「あ~っ、さいですか…。彼氏めっちゃ羨ましい!」
この反応にあかりは苦笑い。
「いいな~いいな~。俺にも早く春が来ないかなぁ…」
「そんな急がなくても…ゆっくりでいいんじゃないですか?」
ズズズとコーラを飲みながら火叉七はちょっと考える。
「まあ確かに、長く生きるから時間はあるんだけどさ。聞いてくれよー、俺の母上に兄弟いるんだけどさぁ、そいつの孫に彼女できたんだぜ。俺より年下のくせに!」
ハァとやる瀬ない溜息をつきながら彼は窓からチラリと外を見た。
「なんかそれ聞いて、三十年も街で頑張ってる自分が馬鹿みたいに思えてきたんだよな…」
「いつか現れますよ。火叉七さんの特別になってくれる人が」
「そんな優しいこと言ってくれるあんたが良かったな」



