次の日も、また次の日も、可愛はあの公園にある桜の木の下を訪れた。

そうして一週間が経ったけれど、待ち人は一向にやって来ない。


「絵師様…どうして…?なんであの日から…来てくれないの…?」


風が唸る。

桜が散った。


「絵師様ぁ……」


会いたいけれど、可愛は青年の家を知らない。

名字も知らない。


名前すら――知らない。



ただひたすら待ち続け、春が過ぎ去った。

夏が来て、秋になった。


その間も、可愛は毎日彼との思い出がある公園を訪れた。


そして、ある月が美しい晩のこと。