銀座の町並みは山奥暮らしに慣れきったお狐様にとって、とても奇異な光景だった。
柳の街路樹に沿って歩きながら可愛は物珍しげに周りをキョロキョロ。
「うわ~!人がいっぱい!建物も…おかしな形ね!」
平安時代から変わることのない母親が住む古風な屋敷とは全然違う。
「ねえねえ、中には入れないの?」
予想以上にはしゃぐ可愛がかわいくて巽はクスリと笑った。
「入れるよ。せっかく来たんだし、行こうか」
こうして百貨店でショッピングとなった二人。
可愛が好きそうな洋装の服を見たり、雑貨売り場で巽が興味を持った文房具を吟味したりと、なかなか楽しめたようだ。
一時間程経った頃に疲れたぁとの声が可愛から上がったので彼らは喫茶店へ入ることにした。



